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<今月の気になる事象>
AI領土の広げ方。エヌビディア(NVIDIA)か、アマゾンか

図1:エヌビディアのホームページ。CESでのファンCEOの講演の様子がアップロードされている。https://goo.gl/nJ1KF4
ラスベガスのCESで基調講演のトップ:エヌビディア
今年1月のラスベガスで開催されたCES(※1)での基調講演のトップランナーとして、半導体メーカーの「エヌビディア(NVIDIA)」のジェンスン・ファンCEOが登場した(図1)。昨年のCESでの基調講演の主役はネットフリックスのリード・ヘイスティングスCEOが登壇したように、CESの基調講演を見れば、その時の象徴として期待されている技術やサービスを総括して知ることができる。※1 CESは元々Consumers Electronics Showと呼ばれた略称だったが「Electronics:家電」にとどまらない拡大成長をしたので、Electronicsをはずし「CES」を正式名称にしている。

図2:エヌビディアの過去1年の株価推移。ヤフーファイナンスより https://goo.gl/nJ1KF4
実際にグーグル、フェイスブック、マイクロソフト、ソニー、バイドゥ等がいち早く採用。2015年時点で3,400社と、採用企業数は直近2年間で34倍に膨れ上がっている。応用領域もAIを含めた高等教育を筆頭に、ヘルスケアやライフサイエンス、ファイナンス、メディア&エンターテイメント、エネルギー、自動車、製造、ゲーム、防衛などへ広がっている。あらゆる産業と企業がエヌビディアのチップを採用し、AI方面に活用しようとしていることが分かる。エヌビディアの株価は2016年1年だけで3倍以上伸びた(図2)。エヌビディアが注力する3分野
多方面で活用されているエヌビディアのチップであるが、基調講演でファンCEOが強調したのは3分野。「VR(仮想現実)の世界を実現させるゲーム」、「テレビを中心としたスマートホーム」、そして「自動運転を見据えたスマートカー」の領域だ。 元々、グラフィックの演算が得意なエヌビディアのチップやグラフィックボードは、マイクロソフトの「Xbox」やソニー・インタラクティブ・エンタテイメントの「PlayStation」などゲームメーカーのハードに多く採用されていた。グラフィックの技術環境が「4K(8K)」 、「VR(バーチャル・リアリティー)」、「HDR(高画質技術)」と進むにつれて活用範囲が広がったため、今や「ゲーム」の概念はニッチな「ゲーマー」のためのものだけではなく「生活の(一部の)延長」として、デバイスを持つ人全員が対象となりえる成長分野だ。 例えばゲームにおける「Eスポーツ」は、既に「世界最大のスポーツイベント」として成長している。Eスポーツ競技は運動能力、訓練、戦略、チームワークが求められ、ライブを含む観戦者が世界中のSNS上に存在し、その競技人口は現状の全てのスポーツの世界人口合算よりも上回る可能性を持つ。