『MAD MANレポート Vol.17』広告&マーケティング業界の最新トレンドを紐解く(DI.ニューヨーク発行)

MAD MANレポート

MAD MANレポート Vol.17(2016年4月号)
  • 特別編「グローバル企業におけるケース・スタディー抜粋」企業内データ構築のトレンドを探る(別冊)
  • 1業種2社!大競合ウォルマートとターゲットの両方のアカウントを追うWPP
  • NBCユニバーサルが開始したTVCM自動取引は本物か
  • 「視聴者」を増やしているのは、誰か。米国の回線契約者数
  • アドエイジ誌の「TV 広告の未来」特集
  • 今月の気になる事象:サムソンがミートパッキング・エリアにオープンさせたショールームビル

NBCユニバーサルが開始したTVCM自動取引は本物か

DIGI DAY日本語版(2016/3/1)で「米国4大テレビネットワークのNBCユニバーサル(NBCU)が、テレビCMの広告在庫取引を自動化した広告技術「プログラマティックTV」の運用を開始する。」と報道されている。一見華々しい発表だが、その背景について解説し、日本にはどのプレーヤーが動く事になるのか、の目線で考えてみる。 mm17_1 NBCUNIVERSAL UNVEILS INDUSTRY’S FIRST NATIONAL PROGRAMMATIC TV OFFERING AT SCALE http://www.nbcuniversal.com/press-release/nbcuniversal-unveils-industry%E2%80%99s-first-national-programmatic-tv-offering-scale#sthash.2zJFLLIh.dpuf 結論から言えば、マーケターにはがっかりされるリスクを承知で「全米初、自動売買を開始しました」と宣言したNBCUの「Baby Step(ほんの小さな1歩目)」。この意気込みが評価対象だ。NBCUの今回の売り物である視聴データは、実は親会社のコムキャスト(ケーブル配信社)セット・トップ・ボックス(STB)経由で摂取しているデータで、それを傘下のNBCUチャンネルのCM枠売に提供したので、「コムキャストの」プロジェクトと言っても良い。命名も「NBCU+ Powered by Comcast」となってコムキャストが主人である事が述べられている。データの販売窓口がNBCUだった、という事だ。 http://corporate.comcast.com/news-information/news-feed/nbcu-powered-by-comcast-delivers-suite-of-new-advertising-products

発表されたNBCUの「全国放映のTVプログラマティック」の内容は下記

  • RTB取引はナシ。
  • 価格を下げたくないプレミアム枠を、少数の限られた広告主に向けて提供するプライベート取引(プログラマティック・ダイレクト)。
  • DSPは少数選定中(候補広告主と各エージェンシーとの調整中)。
  • 運用開始は今年9月開始番組より。つまりNBCが放映する2016年8月のオリンピック放映枠は含まれない。
  • 9月から始まるシーズン枠を買い付けするUpfrontでコミットする「経済余力のある」広告主だけが利用できるサービス。
  • 5月26日に行われる「Upfront(公開前売り入札)」で、さらに全容が明らかになる。
  • ターゲット・セグメントごとに広告を差し替えるダイナミック入稿は不可。
米国のテレビ放送事業を行っている事業体には「パイプ屋(今回の例ではNBCを所有するコムキャスト)」と「番組制作屋、チャンネル(NBCU)」が存在する(図1)。視聴者側から見ればケーブルというパイプをコムキャストと契約し、NBCチャンネルを含む複数のチャンネルを視聴している。 コムキャストはセット・トップ・ボックスから取れる視聴データとNBCチャンネルの番組とを掛け合わせ「プログラマティック」と称し、広告枠を販売するノロシを上げたのだが、NBC系以外のチャンネルには適応できない。例えばコムキャストを契約する視聴者の「CNNチャンネル」や「MTVチャンネル」、あるいはそれらのチャンネルコンテンツをモバイルで視聴する人には、今回のメニューは通用しない訳だ。 他チャンネルと他ケーブル配信社との歩調が揃って無いこともあり、今回のNBCUのステップは「とにかく踏み出して見た最初の第一歩」と言われる。コムキャストはケーブル配信競合のタイム・ワーナーにも共同開発のオファーを出してみたが、今期は叶わなかった。 コムキャストが全国をカバーする全米最大級のケーブル・サービスというスケールを追う・・・ 続きはMAD MANレポートVol. 17にて ※2021年1月よりMAD MANレポートの発行元は、株式会社ベストインクラスプロデューサーズに変更になりました。 ご購読のお問い合わせはこちらからお問い合わせください。 バックナンバーはこちらからご覧ください。

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