『MAD MANレポート Vol.67』広告&マーケティング業界の最新トレンドを紐解く(DI.ニューヨーク発行)

<2020年6月、Vol. 67>

●オリンピック資本の引越しか。eスポーツへの投資シフト
●ダークストア」 リアル店舗の新施策や表面報道にご注意
●失業者数とTVアンテナ設置の相関度合いは

「ダークストア」 リアル店舗の新施策や表面報道にご注意

今回の外出禁止騒動によって「実店舗」の捉えられ方が日々変容している。特に巨大企業の資本による小売店(百貨店・スーパー・コンビニ・専門商品店)の変革、改革無き営業再開は考えられない状態だ。日常生活での商品カテゴリーとしては、「グロッサリー(日用品・生鮮品)」部門の特需が、日米共に2020年4月〜5月には前期比数十%増ほど急増している感覚があるだろう。これらグロッサリーを中心とした小売ディストリビューションの価値について本章では再考する。

一時的な小売・物流業界、そしてメディア業界のディストリビューションの変革

「では好調だった4月、その後の5月や6月頃はどうだったのだろう」
「中期的な3~4年の視点で考えたときの施策や目線はどうだろう」

Eコマースやオンラインに対する小売(スーパーマーケットやコンビニ)のビジネス分野は、今回の騒動で「過剰なまでに上がった特殊」な分野と、見逃されてしまいがちで「過小評価」されている分野に見える。これらを補正してビジネスを見ておくことが懸命だ。

毎回MAD MANレポートで繰り返すが、米AmazonやWalmartに代表される「小売業界」への目線は、そのまま近隣業界である「マーケティング」や「メディア・コンテンツ」の業界にも応用出来る(連動する)分野と捉えている。

元々は重たいデータである「医療・保険」と「金融」から派生した考え方や法則には違いなく、それらと同じく鮮度の高いコンテンツやサービスの「ディストリビューション・チャンネル」という「重要だが見えない」顧客と繋がるパイプがある。それらを通じて顧客をちゃんと理解・確保しましょう、という示唆を先回りし小売流通業界から受け取っている。

メディア業界に親しい人は「リアルの小売のディストリビューションは、メディア・コンテンツの小売(放映や広告)の2年先の例」と思いながら読み進めれば、目の前の小売業界の現象は、次に他の産業に移転するエコシステムが先行している事象に気づくことが多いはずだ。

小売・物流業界の3つの物流変革レベル

 この外出禁止騒動になる前である紀元前から、小売・物流業界では店舗の捉え方として下記の3つの単語が話題になっている。日本でも2015年頃から考慮されていた事のおさらいになるが、これらの単語は小売業界の定番として存在し、まずそれらの単語の整理・紹介することから始める。

下記のレベル(1)から(3)に向けて、難易度(投資額や時間)が大きくなる。
(1)ダークストア(化)への解説 ―(その場しのぎ編:1)

(2)マイクロ・フルフィルメント・センター(MFC)への道 ―(その場しのぎ編:2)

(3)セントラル・フルフィルメント・センター(CFC)への道 ―(小売業の本来の覚悟編)

上記以外にも小売チェーン店においては、オンライン注文の多様なさばき方はBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)の様に幾通りも考慮されている。

店舗やオフィスは負債(なんなら工場も負債)

MAD MANレポートの結論は、今回の外出禁止を発端に「オンラインでの注文化」へシフトが少し進んで、根本的な負債であった「実店舗」を短絡的に改造する施策の深みにハマっては、ほとんどのケースが首を絞める結果に落ちると考えている。

その企業や事業がもし、

・既存店舗を経由する顧客との匿名取引(入荷・在庫・出荷・配送)に依存しているビジネスモデルならばすべて負け

その逆例として、

・新ビジネス形態として、いかに既存店舗を無視しオンライン上での対顧客の信用起点へ投資するか」を拠り所にするイズム、意気込みのビジネスモデルならば勝ち

上記の組み合わせが、成否を分ける一通りのパターンだ。合否判定はMAD MAN読者自身を「先生」として判断は委ねる。

過去の常識に流されていないか

上記の仮説に対する読者側からの意見はすべて受け入れるとして、議論のアンテナ用として思考が回りやすいシンプルな二極論としてご紹介した。

「缶コーラ1つやパンパース1パックに個別信用契約を結べというのか」という意見があればありがたい。その通りでそれらを定義するための仮説定義である。既存の小売事業主の方にとっては傷に塩を塗るような論述であり、なかなか「そうだ」と同意できない投げかけである事は想定しつつの提案だ。

「では現在の実店舗(CPG商品)はどうすればいいのだ」という課題が沸き起こるが、「現在をどう変えるのが良いのか」が矛先ではなく、その「店舗(CPG商品)そのものが負債」であると捉える事が、認識を転換させる最初のステップになる。

現在の「負債」に蓋をしたままで「対応」方法を考えてしまうと、「付け焼き刃」の施策が登場してしまう。それらの「付け焼き刃」の施策が「新しく」見えて、話題になって「明るい報道」として伝えられている状況が実に多く、目がくらまないようにしたい。

コーラやおむつ用品のような特定顧客を持たないコモディティ商材は、さらに価値が減る(コモディティ以下になる)という仮説で見て、「缶コーラをどこの誰が飲んでいるのか未だにわからない」という商品ならば、その商品価値は10年前に比べて下がり続けている」と判断したい。

驚くべき「ユニクロ」による有楽町への匿名顧客向けの店舗開業

「負債に蓋をしたままで店舗経営する」最適な例が、今年6月にオリンピック需要を期待して銀座に開業したユニクロの旗艦店・UNIQLO TOKYOだろう。2020年オリンピック需要を前提に、数年前から契約と工事をしていた物件が「完成してしまった」。

「オリンピック需要」という当初の目論見は無くなり・・・

続きはMAD MANレポートVol.66にて

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