『MAD MANレポート Vol.24』広告&マーケティング業界の最新トレンドを紐解く(DI.ニューヨーク発行)

<2016年11月、Vol.24>

  • R/GAの提唱する「次の9年」。フィー・ビジネスからの脱却
  • <今月の気になる事象>4Kの49インチTVは2万円、音声認識のEco Dotは4千円。日本が知らぬ間に広がるデバイスとは
  • 「情報は何でもスマホ」なのか。携帯電話のベライゾンがコネクテッド・カーから広げる「音声入力」のプラットフォーム
  • 「放送事業者」と「コンテンツ事業者」の企業体力の差

<今月の気になる事象>

4Kの49インチTVは2万円、音声認識のEco Dotは4千円。日本が知らぬ間に広がるデバイスとは

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図1:上)Walmart.com, Philips製55インチが299ドル、下)Bestbuy.com東芝製4K放映対応49インチは199.99ドル

「ブラックフライデー」と言われる年末商戦は毎年サンクスギビング(11月の第4木曜日)の翌日の金曜日から始まる。このレポートが届く頃には米国の商戦が日本でも報道されているだろう。

全米最大の家電量販店のベストバイをはじめ、大手チェーンストアはお決まりであったブラックフライデー・セールの上記の開始日を年々開始時間を前倒し、数年前からはサンクスギビング祭日=木曜日当日(日本の元旦のような祝日を返上して)から開始している。上記図1はウォールマートとベストバイの予告広告だ。

 

4Kの55インチTVは3万円、2KのHDTV40インチなら1万円台

今年の目玉商品は久しぶりに「テレビ」が筆頭になった。ウォールマートが「スマート4Kテレビ」(55インチPhilips製)で約3万円!(298ドル)で告知したのに対抗し、ベストバイが同種スマート4Kテレビ(49インチ東芝製)で約2万2千円!!(199.99ドル)の告知を出した。日本の家電価格を検索してみると、49インチは12万円~14万円である。

日本国内で提供されるハード機器はいつも他国の商品より「少しだけ」品質が良いのだが、価格が高い(メーカー利益が確保しやすい)というネックがどうしても付きまとう。しかし米国ではこれを期に一気に4Kのテレビ受像機が広まる事になる。

余談だが、今年のブラックフライデーの広告を見てみると、さらに大型60インチのスマート4Kテレビは6万6千円(600ドル)程度、さらに「旧型」のHDTVの40インチとなれば1万7千円(150ドル)である。(円安の1ドル=110円換算でこの状態)

 

オンライン購買&宅配を促進させるか、それとも店頭ピックアップか

ウォールマートやベストバイ、そしてターゲットのような流通量販店は顧客をオンライン&モバイルで購買を促進させるのだが、流通量販店の大きな悩みは「店頭に商品ピックアップを出向かせるか」、それとも「宅配サービスを付与するか」の選択だ。

「オムニチャンネル」というコンセプトがすでに「死語」となり、「シームレス(オンライン、オフラインの継ぎ目なく)」に消費者の消費行動を支える事を基軸に策を打つ事が、各流通企業の基本形だ。

この流れから近年は「宅配サービスを付与する」(ベストバイ、ターゲット等で実施)の戦略が多いのだが、唯一「店頭ピックアップ」を死守するのがウォールマートという図式である。消費者から見れば圧倒的に宅配が便利だ。店鋪を持つ流通企業の中でデジタルシフトが大きいウォールマートが、店鋪にこだわるところの舵取りが非常に興味深い。

 

音声認識「アレクサ」と、聞き取りの「Eco Dot」を広めるアマゾン

そんなオフライン店鋪を持つ流通企業のオフライン・オンライン対策を横目に、サンクスギビングの週末明けである月曜日のオンライン商戦「サイバー・マンデー」の主役を担うアマゾンは、今年は何を計画しているのだろうか。

今年のアマゾンは「自社商品」である音声アシスタント「アレクサ(Alexa。アップルのSiri機能に相当)」対応のスピーカー「Echo Dot」を1個4,400円(39.99ドル)で売り出す計画だ。こうも安くなると(今年始めに発売したオリジナルのEchoは2万円(180ドル)だった。今回のEcho Dotはその廉価版)1部屋に1つずつEcho Dotを設置できる。

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アレクサにUberで車を呼び出させたり、ピザの宅配が音声だけで届いたり、と理解しやすい事例も登場させている。「アレクサ!激安商品教えて!」の音声オーダーのみの激安商品やディスカウントクーポンまで用意し、Echo普及させる計画だ。

http://www.businessinsider.com/the-inside-story-of-how-amazon-created-echo-2016-4

 

アマゾンは、家の中でどこでもなんでも「アレクサ!教えて」の一声でお願いできるスマートホームの環境作りに、その入り口となるEchoを「ハブ」として家庭に送り込み進出していく。自動車メーカーのフォードも自社車載の音声操作システムの「Sync」をアレクサと連動させる発表をしている(次章参照)。

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図3:左より今回取り上げたEcho Dot、オリジナルのEcho、持ち運びを考えた充電式のTap
https://liliputing.com/2016/03/amazon-tap-echo-dot-alexa-voice-assistant-speaker-gadgets-90.html

現在アレクサ&Echo Dotのサービスはまだ日本上陸していないが、米国での普及ぶりと人気は上昇中である。iPhoneが100万個のオーダーに70日で到達したのに対し、Echoは2週間で到達した経緯もある。このデバイス激安セールをサンクスギビングで行う事で、一気に「アレクサ!」のサービスが広まる可能性は高い。

音声認識と解析のアマゾンのアレクサ、それからアップルのSiri、IBMのワトソン、グーグルのVoice Search、マイクロソフトのKinectに共通する現状の課題は「レイテンシー(音声返事に3秒も待てるのか)」と「精度(聞き取ってくれない、答えが間違っている)」である。しかしこれらの既存課題は、技術の向上で半年~1年ごとに格段に飛躍するのは間違いない。

日本語対応版が発売される頃には、ストレスを感じない程になっている事を期待して、ロンチを待つとしよう。4Kテレビの激安「スクリーン」流通とは好対照に、アマゾンがスクリーン経由以外のコミュニケーションの窓口である「音声認識・会話」で消費者を結び始めた元年と言える。次章に続く・・・。

 

続きはMAD MANレポートVol.24にて

 

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