『MAD MANレポート Vol.16』広告&マーケティング業界の最新トレンドを紐解く(DI.ニューヨーク発行)

MAD MANレポート Vol.16(2016年3月号)

  • アマゾン・ファッションが自社ストリーミング・ビデオ番組を作る意味
  • 「人のストーリー」をマネタイズする、スナップチャット
  • 今月の気になる話題JWTのグローバルCEOがセクハラ訴訟で辞任
  • 偏る出資と組織。バランスが欲しいメルカリの米国進出の見え方
  • 2016年 米国VC(ベンチャーキャピタル)との付き合い方とは

アマゾン・ファッションが自社ストリーミング・ビデオ番組を作る意味

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図1:アマゾンの番組を担当する各局から集められたファッション・リード役 出典Amazon.com

日本ではファッションEC といえばZOZOTOWNが人気で、テレビコマーシャルを賑わしている。しかし、ZOZOTOWNが放映したCMと、その結果の「反応コンテンツ」や、「反応オーディエンス」のデータはどのように集積中であろうか。

あるいは、ファッション通販といえば、深夜の日本の通販番組があるが、オンラインへの業態シフトは始まっているであろうか。例えば番組改編をして、マイナータレントではなく人気タレントを採用し、情報番組として夜9時の時間帯にシフトすればどのような変化が起こるだろうか。もちろん、旧来のリネア・テレビのゴールデンではなく、オンラインでの「生」放送を想像して欲しい。

 

生で、インタラクティブで、毎日配信するアマゾン番組

ネット通販の米国アマゾンは、今年3月よりライブ・ストリーミング配信で自社ファッションブランドの紹介番組をスタートさせた。番組名は「スタイル・コード・ライブ(Style Code Live)」。旧リネア・テレビ時代の「QVCチャンネル」に代表される「通販TVチャンネル」がついにオンラインでECサイトの上に降りてきた。

このアマゾンの新番組は派手なキャスターを揃えている。司会の3人は、歌手アリアナ・グランデ(Ariana Grande)の兄、元ミスUSAの有名なテレビ局ホスト、元MTVの人気ホストと、ミレニアム層を広く取れるキャストを抜擢(図1)。ゲストにはファッション・リード役としてユーチューバーを招くなど、ファッション&コスメの最新トレンドをアマゾンサイト内で「生」放映する。月曜~木曜日の東部(ニューヨーク)時間の午後9時からの30分番組だ(西海岸では夕方6時にあたる)。閲覧は無料でCMはナシ。まずはデスクトップ版から開始し、次にモバイル版をローンチさせる。

コンテンツは毎日生放送でブランド紹介からコスメや小物の紹介に至る「トレンド紹介」でありつつ、「販売商品紹介」が着地点で、アマゾンの画面からそのまま商品が購買できるという仕組み。ライブ放送なのでMCやゲストに向けてチャット参加する事も可能だ。今後はフェイスブックやインスタグラム等のSNSでも番組フォローできる拡散を予定している。このアマゾンの施策はどの業界でもお決まりの「ミレニアム世代(18-34歳)」へのリーチ対策である。EC上でのオンライン番組で先手を打つ所がアマゾンらしい。

このスタイル・コード・ライブの放映は、まだ始まったばかりのシリーズで合否はつけがたいが、これもアマゾンにとっては「序章」らしい。すでに水面下ではバーチャル・リアリティー(VR)を取り込んだ番組の体制作りも見えている(図2)。

mm16_2図2 :オンライン人材情報のglassdoorで、アマゾンがVRのソフトウエア開発者を募っている事が掲示されている。出典:Glassdoor.com

 

 

 

ファッションを伝えるビデオ比率の高まり

米国でのファッション番組といえば、トップデザイナーを目指す出場者たちが優勝を懸けて熱いバトルを展開するリアリティ・ショー「プロジェクト・ランウエイ(日本ではWOWOWで放映)」がシーズン5に突入している。しかし、旧態のケーブルテレビを通じて放映されるこの番組は、ミレニアム層をカバーしているとは言えない状態が続いてきた。ピーク時には600万人程を掴んでいたが、視聴者数はすでに200万人程に減少している。決してファッションの映像コンテンツの需要が減った訳ではなく、メディア形態がファッションに飛びつく層と一致しなくなった結果だ。

逆にアマゾンは自社放映のドラマ(プライムメンバーが見れるドラマ)としてコンデナスト社(雑誌Vogue等の親会社)からファッションの人気リアリティーショー「The Fashion Fund」を買収している。タイトルの通り「Fund」の賞金を争うデザイナー達の勝負を放映している。コマーシャルスポットも挿入され、スキンケア「プロアクティブ」、「フィリプス」のシェーバー等のCMが流れ、なおかつ放映中はアマゾンのショッピングのページに飛べるリンクが付いている。

mm16_3図3 :アマゾン独自ブランド「Lark & Ro」他にも7ブランドをロンチしている。出典Amazon.com

アマゾンは「アマゾン・ファッション」(MAD MANレポートでも過去に紹介)として自社ブランドをメンズ、レディース、アクセサリー含めすでに7本を「密かに」立ち上げている。品目数は1,800種(サンプルは図3)あるが、Amazonの文字は表に出していない。アマゾンはオンラインへの投資だけではなく、ニューヨークの郊外の撮影スタジオや倉庫拠点へのリアルの投資も加速している。

 

ファッションリテーラーとして全米1位へ

2017年にはアマゾンのアパレルの売上は約5.7兆円!(520億ドル)に達し、巨人ウォールマート、老舗メイシーズ、さらに若手をとらえていたターゲットを抜いて、ついに全米一位の「アパレル販売」の流通企業になると予想されている(調査会社のコーエン&カンパニーの予測)。ネットでは手にとって試着ができないアパレル(ファッション)を、ネット上で人々が購入するようになるとは、5年前、いや3年前でも予期しなかった加速度具合だ。アマゾンの市場価値は現時点ですでにウォールマートの23.7兆円(2,160億ドル)を超えて28.9兆円(2,630億ドル)規模に成長している(参考:三越伊勢丹の市場価値は5,300億円規模、セブン&アイHDで4.2兆円規模)。

 

続きはMAD MANレポートVol.16にて

 

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