アフター(or ウィズ)コロナ時代の人財育成

コラム

「人財育成ってどうやってる?」

まだお酒を外で飲むことができた頃こんな話や相談がよくありました。でもお酒のせいか愚痴交じりになることもしばしば(笑)。大抵こんな話をする人たちは人財育成の大半をOJT(オンジョブトレーニング)に頼っていて…ということでした。

コロナによって変わること、変わったこと

アフターコロナもしくはウィズコロナ時代に今までのようなOJTはまず成立しないでしょう。そのきっかけは今も連日のように叫ばれているソーシャルディスタンスです。人間の習慣というのは非常に柔軟というか適応能力が高く、このリモートという環境に早くも慣れもう既にオフィスの閉鎖や縮小などが検討、実行されている会社も複数あるようです。もう必要ないんじゃないかと。ましてやこれからまだ最低でも1ヶ月間は伸びるであろう自粛期間によって、確実にこの仕事環境に適応していく人は増えていくはずです。

本来であれば今は新卒入社の時期。一定の新入社員研修を経て、会社によっては5/1が配属日なんて会社もあったかもしれません。新卒入社は毎年のことなので規定の研修項目が用意できている会社も多くあると思います。ですがそれは社会人としてのほんの導入部分であって、実際にコミットしなければならない本来の仕事とは違います。そこから私の感覚では4から5年、OJTによって礎を作っていくのだと思います。もちろん職業や職種によってはもっと体系化された研修システムによって短期、平準化可能なものもあるかとは思います。

OJTに頼ってきたこれまでの人財育成

我々の業界で考えていきましょう。大抵が考えるであろう、オンライン学習システムやWEBカリキュラムなどを通じた育成。その効果が認められるのはどんな職種でしょう。今までにもこういった研修方法はありました。これがコンプライアンス研修やオペレーション研修などであれば十分に可能かと思います。ですが…。頭を悩ませるのは人事部といったセクションよりはむしろ営業やマーケティング、クリエイティブなどのマネージャーなのかと思います。多くの仕事のプロセスやチャートなどは可視化されていません。またそれらがあったとして、評価とセットになっているケースもなかなかないと思います。そういう意味では我々は大半をOJTに頼ってきました。一度順応してしまったリモートワークという働き方は、もちろんメリットとデメリット両面あるものの事態収束後に完全に元に戻せるものではありません。完全に戻す必要もないからです。

リーダーシップのあり方が大きく変わるかもしれませんね。何を組織に定着させるべきなのか?スキル、プロセス、評価、これらの要件定義をきちんとしなければなりません。文系的な整理ではなく理系的な整理であり、人事に作成を依頼するものではなく自らの組織においてのものです。そして部下たちもスキルとスキルの間を結ぶもの。大袈裟にいうとウェブ会議の際に相手の眉が釣り上がったこと、口角が下がったこと、貧乏ゆすりなんて見えないところなど、今まで”空気を読む”などと言われてきたことについてなど、OJTによって補われていた部分を自らが考え習得しなければなりません。実際の現場にはこれらを第三者でリードするリーダーまたはアクセラレーターもいた方がいいと思います。

奇跡の経営/リカルド セムラー

ここで一つのヒントになるのではないかという本を紹介しておきます。奇跡の経営/リカルド セムラーです。著書で紹介される会社には組織図がありません。同心円で描かれる同社の組織は「カウンセラー」「パートナー」「アソシエート+コーディネーター」の4つの階層と肩書きで構成されています。フラット経営と呼ばれるようにこの会社ではトップダウン式のコントロールをせず、コントロールはアンコントロールを生むというように考え、非常に流動性の高い運営をしている会社なのです。私も読んだ当初は著書名にもなっているように”まさに奇跡のような”と思い部分的なインプットに留めたのですが、今後の状況を鑑みると…と思い、再度手にとって読んでみました。経営手法として捉えるのではなく、リーダーシップのあり方として捉えてみるといいかと思います。

奇跡の経営

代表取締役 戸村恵太

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