広告&マーケティング業界の最新トレンドを紐解く『MAD MANレポート Vol.41』(DI.ニューヨーク発行)

<2018 年4月、Vol. 41>

  • WPPマーティン・ソレルCEOの辞任
    コングロマリット経営の成り立ちとこれから <前・後編>
  • インフルエンサーネットワーク as a Service(IaaS)  <前・後編>
  • プライベートDMPがCDP(Customer Data Platform)に呼称シフト
    個人ID構築にエージェンシーグループも参戦 <前・後編>
  • ★<別冊レポート>
    『企業マーケティングの礎(いしずえ)経済動向 バブル景気の傾向と現在位置』


プライベートDMPがCDP(Customer Data Platform)に呼称シフト
個人ID構築にエージェンシーも参戦<前半>

図1:CDP Instituteにスポンサー登録しているCDPベンダー25社
日本に進出しているベンダーもある。印はゴールドスポンサー。
CUSTOMER DATA PLATFORM INSTITUTE, https://www.cdpinstitute.org/directory.html

FacebookのザッカーバーグCEOが米国の公聴会に出席し、年老いた議員達から矢継ぎ早に飛んでくる的外れな質問を優しい言葉に訳して説明したやりとりの政治ショーは、シリコンバレー界隈では笑い話として浸透している。この公聴会はマーケター企業から見ても、日々の現場で細心の注意を払っているような最先端の事項とはほど遠い、一般的な入り口の議論であり、その議事内容に関して特筆すべき決定事項もなかった。

一方で欧州ではいよいよ来月(5月25日)、新たなプライバシー保護法(GDPR)が施行され、米国でもプライバシー関連法改定への取り組みが始まっている。今回のザッカーバーグCEOの公聴会への呼び出しはこの法体制の「イントロ広報」になった形だ。

データ管理の強化やその扱いの難易度(生活者の明確なオプトインの必要性など)が啓蒙される一方で、マーケティングの現場ではこれまでのハッシュ化させて匿名にしていた「セグメントデータ」から、より個人が特定できるプライバシー性が高いPII(Personally Identifiable Information)情報に紐づくデータの価値が高まっている。FacebookやGoogleなどのプラットフォーム企業のデータ保護ばかりに気を取られず、全ての企業(あなたの企業)が「自社はデータ企業」の自覚を持って掘り進めて行きたい。そのためにはセンシティブなデータを生活者とオプトインで「共に」構築し、扱うことに対する姿勢を自社に問うことが、今回の政治ショーが教えてくれた価値だ。

たとえばGoogle もすでにGDPRを意識したプラバシー保護の観点から「Ad Data Hub」をローンチさせている。Googleの「庭」の範囲における広告データに対し、ブランド企業側が自社のCRM データを「あちら側(Google側)」の庭に提供すれば、Google Cloud 内でレポートを作成し、結果とインサイトを Ads Data Hub ユーザーに提供してくれる。一見便利なサービスでかつ「データ保護」を貫いているが、これではブランド自社には個人プロファイルのデータが蓄積できない。そこで下記のCDPの概念やベンダーが一層注目を浴びることとなる。

■CDP(Customer Data Platform)とは

図2: Treasure CDPの発表資料
マイナビニュース,「トレジャーデータ、今後は「TREASURE DMP」をCDPとして提供」
https://news.mynavi.jp/article/20170712-a030/

PIIデータを活用する延長線で「英語3文字略字」の新星として「CDP(Customer Data Platform)」が昨年あたりから市場に登場している。「CDPとはDMPとCRMの近辺の類語だろう」、というイメージまでは日本でも認識されているようだ。
米国では2013年よりCDPに関する協会(CDPI: CDP Institute)が立ち上がり、定義付けされている。図1はCDPIにスポンサー登録されているCDP企業、25社の一覧である。
この「CDP」はアドテク(マーテク)企業のDMPベンダーや、CRMベンダー、タグマネジメントベンダーらが、自社のプラットフォームを単なるターゲットの「セグメント(集団)情報」から進化させ、個々の生活者が特定できる情報(メールアドレスや生年月日等のプライバシー性が高いPII情報)に紐づくマーケティングにシフトさるために「自社プラットフォームの呼称」をCDPに変化させたことからCDPの認知が上がった。

日本では「トレジャーデータ」が自社の「Treasure DMP」を「Treasure CDP」と改称したことや(資生堂、スバル、ソフトバンク、JT、キリン等が導入)(図2)、「エバーライズ」も「Integral-Core」の製品名でCDPとして販売(例:ビデオリサーチが導入)していることが挙げられる。

■「DMPとCDP」の違い、「CRMとCDP」の違い

図3-1:Luma ScapeによるCDPとDMPの比較
両者を対立するものではなく「&」で結んでいるのがポイント
図3-2:上記の図を筆者が和訳作成

データを扱うDMPやCRMの風上、その延長線上にCDPが登場しており、元々DMPに期待していた(CDP的な)機能と比較すると体感的な差は 感じないかもしれない。あえて進化の区別を付けるならば、CDPの方がよりセンシティブな個人データ(PIIデータ)を扱う傾向に進み「巨大な顧客カルテ管理」を目指していると考えてよい。
今回CDPをテーマに取り上げたのは、「CDPベンダーによるDMPからCDPへの名称変更」だけでなく、さらに「CDPを採用するブランド企業による自社CDP化の波が高まった」だけでもなく、すでにWPP、電通Aegisと言ったグローバルの広告ホールディング企業すらが「個人ID」をベースにしたプラットフォームへの投資を進めて、クライアントであるはずのブランド企業と競争関係にあるからだ・・・

 

続きはMAD MANレポートVol.41にて

 

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