広告&マーケティング業界の最新トレンドを紐解く『MAD MANレポート Vol.38』(DI.ニューヨーク発行)

<2018 年 1月、Vol. 38>

  • グローバル景気の腰折れに対する予兆 グローバル広告企業の2017株価下降が意味するもの
  • Amazonに続いて中国のビットコイン採掘社が人工知能(AI)に参入
  • 米国が採用する放送の新規格「ATSC3.0」への注目パブリッシャーのコンテンツの「サブスク」ビジネスは「紙芝居ビジネスモデル」を目指す
  • コンビニを含む日本の流通企業の衰退のはじまり
  • P&Gによる「マーケティング費(広告費)とR&D費」を合わせる新概念への挑戦

Amazonに続いて中国のビットコイン採掘社が人工知能(AI)に

中国はビットコインの技術と投資の矛先がAI側へ向けてシフトさせてくる予兆

その「智子(Sophon)」とは

音声入力のAmazon Echoの発売が日本でも発売され、音声AIのAlexaの「スキル」が日本語仕様で出回り始めた。いよいよ日本も「毎日Amazon」状態である。

広告業界に絞って見ても、広告主側企業&エージェンシー800社を対象とした「DSP利用」調査では、Googleの「DoubleClick Bid Manager」と、Amazonの「Amazon Advertising Platform」がダントツの2強と報告されている程だ(図1:今年前半の発表ではAmazonが首位であった。広告主側の「DSPとは何か」、の定義課題は横に置いておく)。

図1:広告主企業とエージェンシーに打診した「よく使うDSP」候補
Advertiser Perceptions社の調査より, https://www.advertiserperceptions.com/amazon-google-hold-lead-demand-side-platforms-dsps/

昨年のAmazonは、1月のCESで「出店していないのに一番目立っていた」存在で筆頭注目となり、8月には「Whole Foods Market」のリアル流通網を買収完了させて稼働し、また11月には「DeepLens」AIカメラを発表し、まるで「アマゾン祭り」の一年だった。その結果、日本でも年末には「Amazon Effect(影響)」の呼び名が日経の2017年ヒット番付の横綱に輝く盛り上がりようである。

とはいえ、まだ現在はあまりにも「表層的」な報道ばかりだ。たとえば、Amazon Echoは確かに出荷個数を増やしているが、音声入力端末カテゴリーでのマーケットシェアで見ると、昨年は80%を超えていたが今年は68%にまで落ちてきている。

あるいは「スキル(アプリ)」の個数は25,000個を超えているが、その6割以上が「レーティング」無しの「実験スキル」にすぎない。筆者は最近、Alexaに向かって声を出すための「横隔膜」の動作の方が、スマホにタップする「指先」よりも逆に面倒であることにも気づき始めた(例えば就寝中の静けさの中など)。音声デバイスとその先のAI機能やDeepLensに至ってもまだまだ用途は「おもちゃ」の領域から抜け出せず、これからがAmazonの腕の見せどころであり、AWS(Amazon Web Service)で蓄積するデータの入り口を用意したばかり。

身近なB2Cの「周りに見える」世界に目が行きがちだが、むしろAIとディープラーニングの分野では、Googleの方が開発費や過去のデータ量では圧倒的に「先回り」していると見る方が的確で、IBMやMicrosoftを含めた「巨人」達との力関係を把握する必要がある(そのためAmazonが凄いという判断はなかなか出しにくいものだ)。

図2:2000年から2016年までの「AI関連」のリサーチ個数の積み上げ
Economist.comより, https://www.economist.com/news/business/21732125-tech-giants-are-investing-billions-transformative-technology-google-leads-race/

むしろAIの分野のリーダー(打ち上げ情報)を追いかけるだけでなく、この章では次を動かす「ダークホース」にも目を向けておきたい。思わぬ産業が互いに繋がろう(ブリッジ)とする様子が見え始めており、新たなエコシステムが形成されている。

たとえば過去にもマーケティング・テクノロジーの「DSP/DMP/RTB」の概念が始まったのは、リーマンショック以降に金融業界「ファイナンス」分野から「フラッシュ・ボーイズ(マイケル・ルイス原作)」と称される「ファイナンス」分野の超有能なテック・チームがマーケティング業界に流入したおかげで、10億分の1秒の「RTB取引プラットフォーム」の世界を作り上げたと言われている。

暗号通貨の計算技術が、人工知能(AI)の分野に流れ込む

すでにこの流れが現代でも同様に、ニッチである暗号通貨界隈の「金融テクノロジー」から発して、広範囲のマーケティング業界に向けて雪崩が起きようとしている。金融のビットコインの「マイナー(コインを掘る人=計算インフラで儲ける人)」たちが、その知識と資金力を使ってAIの産業に流れ込んでき始めたのだ。計算能力とスキームを通貨市場だけでなくAI市場に向け始めた中国での出来事だが、米国では既に話題になっている。

それはビットコインのマイナーとして最大手の1社である「Bitmain(ビットマイン)」社が人工知能(AI)産業に向けて矛先を変えて来たことが明らかになったからだ。ビットマイン社が、AIの分野に進出するという事は、Google、Nvidia(エヌビディア)、AMDと競合する(あるいは協業する)中国発の企業がデビューすることになる。

図3:中国ビットコインの最大手マイナーのBITMAIN社のマイニング施設、ビットコイン採掘の事業からAI事業にシフトしてきた意図は?
Joon Ian Wong 「China’s Bitmain dominates bitcoin mining. Now it wants to cash in on artificial intelligence」, https://qz.com/1053799/chinas-bitmain-dominates-bitcoin-mining-now-it-wants-to-cash-in-on-artificial-intelligence/

 

続きはMAD MANレポートVol.38にて

 

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