MAD MANレポート Vol.29

<2017年4月、Vol.29>

  • ペプシが「インハウス」で制作したビデオ広告が炎上。
    ビデオ・コンテンツは自社資産と定める「逃げない」広告主の姿勢
  • 国境を超えるコンテンツの可能性。ロシアのフォトグラファーが
    Instagramで日本のファンをつかむ、簡単なアイデア
  • Omnicomが狙う、メディア「先買いビジネス」よりも重視した
    新設プログラマティック・メディアのビジネス
  • 今月の気になる事象:
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  • 仏Publicisが、名所のニューヨーク・オフィスをついに移転。
    「コネクテッド」環境に必要な単フロアの広さは

ペプシが「インハウス」で制作したビデオ広告が炎上。
ビデオ・コンテンツは自社資産と定める「逃げない」広告主の姿勢

図1:お蔵入りになったペプシのビデオ動画。炎上の元になったラストシーン

ブランドのオンライン上でのイメージ毀損の話題が目に留まる事が多い。4月はユナイテッド航空の機内において警察官に乗客が引きずり降ろされた「流血」騒ぎや、YouTube/ Facebookの広告ボイコット課題も頻繁に登場した。

そんな折、米PepsiCo(以下ペプシ)が世界的に人気のスーパーモデル、ケンダル・ジェンナーを起用した約2分40秒のCM(動画広告)が、政治抗議活動を題材に商品ブランディングを展開しようとしたメッセージに対し炎上する騒ぎになっている。

ユナイテッド航空の「機上運営」の結果、ソーシャルにて拡散されてしてしまった事例とは違い、ペプシの件はYouTubeチャンネル上で自らが「広告・マーケティング」活動を仕掛けたプロジェクトに対して騒ぎに発展している。この動画は4月3日月曜日から公開されたが2日後にペプシは掲載とりやめと謝罪文を公表した。

動画の概略は、デモ隊に遭遇したケンダル・ジェンナーがデモの輪に加わり、対立する警官にペプシを手渡すという内容。ペプシを飲んだ警官が微笑み、周囲のデモ参加者が歓声に沸くエンディング。Twitter上には「ペプシがあればすべて丸く収まる」という様な皮肉るツイートも多数投稿された。

炎上の背景には、米国では白人警官が黒人を殺害する事件が相次ぎ、これに反発した市民が、人種差別に反対する「ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命は大切だ)」運動を展開していることがある。ペプシとしてはこの運動を支援する目的だったが、「商業利用」に見えた事で炎上となったとメディアでは解説されている(SNSでの炎上状況は他報道に譲るとする)。
企業背景として、現ペプシコの会長兼CEOのインドラ・ノーイ(Indra Nooyi)女史は、インド産まれの移民で、かつ女性というマイノリティーの「代表中の代表」でもある。先の大統領選の民主党(革新派)のクリントン候補の第一支援者として先頭で応援をしていたが、あえなく敗戦。保守派であるトランプ大統領はすかさず経済アドバイザリー・メンバーの19人の中にノーイ女史を抜擢している経緯がある。この(元クリントン派の)ノーイ女史率いるペプシが「革新デモ」をテーマにしたビデオ素材が非難を浴びたのは、どこか政治的な側面も伺える。

■ペプシが発信した謝罪文とは
危機管理マニュアルの第一歩としてペプシは謝罪文を公表したが、その短文がさらに波紋を呼んでいる。あなたがペプシ広告主なら、ネット炎上の1-2日後の謝罪文に何を込めるだろうか。ペプシの公表した5文メッセージが下記(オリジナル英文から筆者訳)。

1)ペプシは世界へ団結、平和、理解のメッセージを伝えようとしていました。
2)明らかにその起点から逸れておりました。申し訳ございません。
3)深刻な問題にするつもりはありませんでした。
4)動画は削除しました。本件の続編はありません。
5)また、ケンダル・ジェンナーさんをこのような立場に立たせてしまい申し訳ございません。

最後の5文目がソーシャル上で「火に油を注ぐ」結果になっている。ユナイテッドのCEOが乗客よりも社員をかばった経緯説明文を彷彿させる。

図2:ペプシCMでのケンダル・ジェンナー。デモ隊の中に入ったシーン。
http://www.harpersbazaar.com/celebrity/latest/news/a21838/pepsi-kendall-jenner-commercial-removed/

参考までにペプシがソーシャルに向けて謝罪文を付与した「ケンダル・ジェンナー」とは、全米1セレブな家族と言われる「カーダシアン家」の(あの)キム・カダーシアンの義理の妹。(図2)。今やトップモデルの1人となっているケンダル・ジェンナーはラルフ・ローレン、マイケル・コース、フェンディ、マーク・ジェイコブス等のショーにも登場するブランドイメージ牽引モデルだ。

■メディア側が作る、バイアス
このペプシのCM騒動の一連の報道には、かなりバイアスも見受けられる。それらを差し引いて日本マーケットへの応用教訓としたい。

マーケティング業界紙や一般メディア報道に見かける論調として、このペプシのCM=動画は、ペプシのインハウスのコンテンツ・チーム(エージェンシー)によって制作・発信されている事への短絡的な横槍がある。

例えば、・・・。

 

続きはMAD MANレポートVol.29にて

 

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