広告&マーケティング業界の最新トレンドを紐解く『MAD MANレポート Vol.30』(DI.ニューヨーク発行)

<2017年5月、Vol.30>

  • テレビ局の対抗策:「Google-Facebook」への対応コンソーシアムの形成
    その本気度の見破り方
  • 今さら聞けない「プログラマティックTV」と「アドレサブルTV」とは
    米国「TVアップフロント2017」での注目
  • 今年開花する、NBCU/Comcastが3年前に先手で事業シフトさせた広告枠の売り方
  • Amazonの次なる狙い。人びとが毎日消費する「冷蔵庫の中」
  •  米国の広告主が主体となった「アドテク税」調査、第二弾
    • 前半:米国広告主協会(ANA)の調査
    • 後半:世界広告主連盟(WFA)のProgrammatic 2.0調査
  • 今月の気になる事〜戦略(Strategy)の意味は理解されているか。頻出業界英語とは。

今さら聞けない「プログラマティックTV」と「アドレサブルTV」とは 米国「TVアップフロント2017」での注目

タイトルの「プログラマティックTV」と「アドレサブルTV」という概念はすでに日本でもお馴染みだろう。米国ではこれらの単語概念は2年前のTVアップフロントの頃から話題になり、米国では今年からいよいよ「実証実験が終わり、実売」、そして「未来への投資」に突入している。米国事情は、日本での次の投資先の参考になる。

日本語でカタカナ検索をすると「アドレサブルTV」よりも「プログラマティックTV」の単語の方が馴染み多いようだ。日本ではいまだ旧態依然のレガシーな取引をしているTV-CMだが、そこに流行りとはいえ「プログラマティック」の単語をTVに付加して「プログラマティックTV」と称しても、分かりづらいかもしれない。

しかし、今年の米国TVビジネスは確実に「日本(や米国)のこれまで」とは格段に違い、テレビ局から見た収益のエコシステムにおいて広告主が「億円(ミリオン)単位」の予算をシフトしていることに気づいておきたい。以下、過去のMAD MANレポートでの紹介サマリーから抽出しながら、巨大予算である今年の米国TV状況を、最大手NBCUを事例に追記する。

■テレビ局の提唱するプログラマティックTVの意味
実はプログラマティックTVと言っても、米国でのプログラマティックTVには「リアルタイム入札」や「オークション」は(まだ)無い状態だ。その理由の一つが、テレビ番組に付随するCMのサプライ側の在庫や枠が(今のところ)非常に限られている事にある。オンライン上での枠と比べて圧倒的に少ない量しか無いので、リアルタイム+オークションでプログラマティックに売買するメリットが見いだせないのだ。

「リアルタイム」と「オークション」取引がテレビCM世界で成立しない(させようとしない)もう一つの理由は、テレビの(番組)コンテンツは映画コンテンツと同じく先物予約・先行投資型で制作進行させるために、半年や1年先の番組に巨額の広告費を掛けるためには、価格や枠のネゴシエーションとその判断プロセスが必要になるためだ。1年先の番組を「リアルタイム」に「オークション」で取引を行う事は非常に難しいし、広告枠を売るテレビ局側からすれば必要性すら感じられないのが現状だ。

当面これらの2つの機能は、プレミアムコンテンツ(番組)に沿った広告の買付けの場合において、導入の道のりは遠く、意義も見いだせてないと考えて良いだろう。リアルタイム+オークションは「枠」の販売において強みを発揮するが、プレミアム・コンテンツを制作する側にとっては既にCM枠を差し込む形から、番組の中に自然に溶け込む「ネイティブ」化の流れで収益化を考えている事を頭に置いておきたい。人気のプレミアムCMとは、枠を買うのではなく、番組への投資という意味合いが大きい。

図1:電通報が解説する「Programmatic広告」の仕分け
https://dentsu-ho.com/articles/2990

「プログラマティックTV」と称する取引が米国で盛んになってきたのは、売上の天井が見えて来たテレビ・チャンネル局(ネットワークTV局とも言う、以下チャンネル局と略す)が、視聴数字が下がり続けるニールセンの年齢・性別デモグラデータ(女性18-34歳等)に頼らない取引形態を自助努力で編み出した結果だ(前章のOpen A.P.発表も同様の流れ)。

これまで広告主企業はニールセンの2008年頃から導入が始まったC3/C7(生+録画3日、7日の総計)視聴率を頼りに、性別&年齢のデモグラをベースにしてGRPを積み上げるテレビ枠の買付けプラニングしかできていなかった。ニールセンは10年前のC3/C7の指標から、あらたな視聴者指標を作れないまま丸10年が経過した状態だ。

チャンネル局はこれまでの手作業による、エクセル上でのニールセンのオーディエンス・ベースでの買付けプラニングを、自社開発のプラットフォーム上で顧客に解放し、そこで組み立てた数字を基に「ギャランティード」売りを始めた。これは今年のTVアップフロントの特徴と言える。

具体的にはチャンネル局が提供するプラニングツールにログ・インして、局が契約するサードパーティ・データによるオーディエンスのセグメントを選び、広告主が自社のファーストパーティ・データと組み合わせて「プログラマティックに」プラニングができるメニューが用意された。「年収1,000万円以上で、車購入から3年以上経過の家庭」を基に何GRPを獲得したいか、という目線でテレビCM枠のアップフロントでのコミットが出来るのだ(NBCUの具体例を後述)。

図2:北米で利用可能な大手サードパーティ・データ一覧
http://www.thevab.com/wp-content/uploads/2016/11/VAB-Addressability-Report.pdf

■さらに「アドレサブル」に
上記のターゲティングデータに加え、セット・トップ・ボックス(STB)を通じて家庭にデジタルに繋がるケーブルTV、衛星放送(Comcast、Time Warner Cable、DIRECTV、DISH等)を通じて広告をターゲット・セグメントごとにダイナミックに使い分ける「アドレサブルな」CM配信もスタートしている。上記の「プログラマティックなTV買付けプラン」よりも、「アドレサブルな配信」の方が最終的なマーケティング効果の見地では大きな変化だ。

現在米国で理論上TVアドレサブルに繋がる世帯は5,700万世帯(47%世帯)と言われる。Netflixの北米契約者が約5,000万人、アマゾンプライムが約3,500万人なので・・・

 

続きはMAD MANレポートVol.30にて

 

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