広告&マーケティング業界の最新トレンドを紐解く『MAD MANレポート Vol.27』(DI.ニューヨーク発行)

<2017年2月、Vol.27>

  • P&Gがユニリーバに牽制をしたメディア取引透明化の基準
  • 「ゲームの裏側にあるゲーム」
    スーパーボウルから見る、「CM枠」から「番組」への価値シフト
  • Facebookの「テレビ・パイプ」化と映像コンテンツの手付け
    Facebook流、コンテンツ投資競争への準備のしかた
  • 米国で伸びるDOOHネットワーク、日本で大きい成長可能性
    (前編)プログラマティック買付けが可能なオフライン広告のDOOH
    (後編)DOOHのマスメディアとしての価値と事業ポテンシャル
  • 今月の気になるデータEmailマーケティングの、桁違いの強さ

米国で伸びるDOOHネットワーク、日本で大きい成長可能性
(前編)プログラマティック買付けが可能なオフライン広告のDOOH


図1:米国における、媒体別の扱い金額の伸び率
http://oaaa.org/AboutOOH/Factsamp;Figures/InternationalOOH.aspx

マーケター企業による「モバイルデバイス」を使ったロケーションデータに関する話題には事欠かないが、一方で旧来から存在していた屋外で訴求するメディア「屋外広告」(Out of Home, OOH)の近況にはどのような変化があるのだろうか。

「山手線のLEDモニター採用による印刷中吊り広告廃止」等の話題を始め、OOHの「デジタル化」によりDigital-OOH(DOOH)と呼ばれる「LEDスクリーン媒体」が街中に増えている。米国ではそれらのデジタル・スクリーンを「全米ネットワーク化」させ、プログラマティックに配信可能なマスメディアとして変貌させた状況だ。スマート・ホームや、スマート・シティーを想定したDOOHを通じた街中でのコミュニケーション訴求は、テレビ、新聞、雑誌、ラジオの伸び率を上回って成長している(図1)。

図1から、米国のOOH広告市場は着実に3%ずつ程伸びているのがわかるが、広告市場全体におけるOOH比率は約4.4%の8,000億円(約73億ドル)市場である。その内デジタルOOHの売上は40.8%を占め、2018年には53%を超えると予想されている(eMarketer調べ)。DOOHを活用する広告主はマクドナルド、アップル、ベライゾン、コカ・コーラ等を筆頭に、テレコム企業、映画・テレビ業界、金融が上位の出稿主だ。

■OOHをタイプ別に仕分けると下記の4タイプに分類できる。

  1. ビルボード広告 Billboards
    デジタルビルボード、ポスター、ビル壁面、LED装飾 (図2)
  2. 公共交通広告 Transit
    電車・バス内、駅・停留所、キオスク、タクシー内・外、空港 等
  3. 施設内広告 Place-based OOH
    映画館、スポーツジム、ショッピングモール、インストア、レストラン・バー、ネイルサロン 等
  4. 歩行町中に見える常設広告塔 Street Furniture
    バス停留所、ニューススタンド、電話ボックス、自立看板 等がある。
図2: IABのDOOHガイドブックより。全米流通が広い「ビルボード、LED装飾」の例
図3:OAAA(屋外広告協会)が仕分けした米国のOOH媒体数。図中の①②③④は上記本文に連動
http://oaaa.org/Portals/0/Images/Number%20of%20OOH%20displays%20Chart%202016.jpg

米国での出稿内訳は、人々が屋外ですごす移動手段の大半が「車」であるので、①番の「ビルボード(高速道路沿いが多い)」での露出が約7割(67%)を占め、②公共交通(16%)、③施設内(12%)、④町中の自立看板(5%)という比率だ。
テレビ局、新聞社、雑誌社、ラジオ局という4媒体の経営は、自社が発信するコンテンツの価値を高める事が経営の生命線を握る。これに対してOOHの媒体(社)の経営はコンテンツを表示する「パイプ機能」の価値だけが経営の勝負になる。4媒体の経営はコンテンツ価値のコントロールであるのに対し、OOHの経営は自助努力でコントロールできない「場所」に大きく依存している。

そんな規定環境の中において、OOH業界の近年の最大の変化は、LEDスクリーンの増産コストが格段に下がったことで、アナログOOHであった媒体を自社投資によりLED製のDOOHに移り変えられた事だった。

単なるアナログなポスターや看板だった媒体がデジタル・スクリーンに置き換わり、動画コンテンツの出稿やオンラインでのコンテンツ送稿が可能になった事で、米国ではDOOHのアド・エクスチェンジが登場し、ダイナミックにコンテンツを差し替える事もできる媒体が存在している。

さらにデジタル上でのDSPとも接続され、広告主側からはオンライン媒体の延長としてDOOHが考えられる場合もある。単体の場所だけに依存していたOOHの価値基準が「ネットワーク化させる」という新たな価値基準が産まれたのだ。現在はさらにM&AによるDOOHインベントリーのネットワーク「統合」が進む。

DOOHの広告素材は、サイズだけでなく音の有無から秒数の定義まで様々だ(別添資料)。米国では増大するデジタル・スクリーンにおける広告出稿のガイドラインをIAB(米国インターネット広告協会)がデジタル上のディスプレイ広告の延長として整備し、発行している(図4)。日本の現状からすれば、OOHのコンテンツ管理をIABが指南するとは、驚くべき状態ではないだろうか。

図4:IABが設定しているDOOH広告のガイドライン
http://www.iab.com/wp-content/uploads/2016/02/IAB_Digital-Out-of-Home-Matrix.pdf

■「One to Many(1対多)」という特徴。
Viewableの「視聴」データではなく、Trafficという「足」のデータ

「One to One(1対1)」の消費者ひとりひとりへの訴求を求めるマーケティング・トレンドに対し、DOOHは1媒体が多数に訴求する「One to Many(1対多)」のケースが大半。映画「マイノリティ・リポート」のトム・クルーズのシーンのごとく、個人向けに「今日の御用はいかがでしょうか」とDOOH媒体が訴求する技術は可能である。しかし「1対多」が前提の大半のDOOHでは「1対1」訴求のコンテンツを組み込む事はプライバシー課題も考慮した上で「現段階では」歓迎されない。

DOOHの媒体特性である「1対多」の媒体データは・・・

 

続きはMAD MANレポートVol.27にて

 

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